地球学校-HOME 地球学校についてお問合せEnglish

コラム おしゃべりコーナー - バックナンバー  

No.76 日の沈む国モロッコにて

えもりえつこ [2002/11/06]

 モロッコ王国は北アフリカに位置する国で「マグレブ=日の沈む国」と呼ばれます。王国というように、王様のいる立憲君主制、イスラム教を国教とするアラブの国の一つです。人口約2800万人、国土は西サハラも含めると日本の1.9倍。日本人の観光客は2001年度で約1万5000人、毎年増加傾向に有り、女性の団体ツアーや若者のバックパッカーを中心に、エキゾチックなイメージで人気のある国の一つとなっています。日本への主な輸出品の8割をタコ、イカ、マグロの魚介類が占めていて、食卓に並ぶタコが実はモロッコ産というのも珍しくありません。ちなみにモロッコでは、タコは食べません。

●出発の日
 9月11日、パリのホテルでは朝から何度も同じ映像が繰り返されていました。新聞を見ても例の記事、ニューヨークテロ事件からちょうど一年が過ぎた日、私達のグループはパリ発⇒ラバト行きの飛行機でモロッコへ向かいました。内閣府の国際青年育成交流事業に参加する計11名の日本人グループです。パリの空港は平穏な雰囲気で、特別 な警戒は何もありません。とても簡単すぎるセキュリテイチェックに不安を感じたのか、私達のグループだけ、少しナーバスな雰囲気に陥っており、11日を到着日に選んだ内閣府のセンスのなさを言い合って気持ちを紛わすかのようでした。パリ⇒ラバト間は飛行機も小さい為か、かなり揺れます。フライトアテンダントの動作も何故かぎこちなく見えてしまいます。スリルあるフライトはもちろん何事もなく、無事ラバト空港に到着しました。私達をアテンドしてくれるハッサンというモロッコ人が、ニコニコと満面 の笑顔で出迎えてくれ、開口一番のんきな口調で「よく今日、飛行機に乗れたね〜、僕なら絶対に嫌だよ〜。」 その言葉に、やっぱりモロッコ人も同じなのだと妙な親近感と安堵感を感じてしまう日本人一行なのでした。

●人の目
 最初に町を歩くと気になるのはモロッコ人の熱い視線です。好奇心からなのか、通 りすがりのモロッコ人は大きな瞳でじっ〜と私達を見つめていきます。視線に慣れていない日本人は、最初かなり戸惑います。大阪では視線を合わすことを「メンチを切る」と言ってトラブル(又は言いがかり)の原因になりますが、ここでは多くの人が日本人に対し、メンチを切っていきます。道端のカフェにはオヤジ達ばかり、ずら〜と並んで座っていて、前を通 り過ぎる時はちょっと気合が入ります。でも、そのうち慣れてくると、日本でこんなに注目される事はまず無いので、見られる事も結構楽しくなってきます。そうすると歩き方や姿勢、表情まで美しく見えるよう意識するから不思議です。 調子に乗った私は一度、合った視線を逸らさずにしてみようと決めました。いわゆる大阪の方でいう「メンチを切り返す」事にしたのです。女性は案外、すぐに視線を外してくれますが、男性は手強いのです。前から歩いてくるモロッコ人(男)と視線が合って3秒…4秒…負けないよう、にらみ合い状態が続くかと思うと、突然、男性側がウインクし、妖しく微笑んで近づいてきたのです。「え“っ!」瞬間、すぐ目をそらし、足早に逃げるように通 り過ぎたのは言うまでもありません。モロッコでも大阪と同様、視線を合わすことは違った意味でトラブルの原因になるようです。

●町で見かけること
 街を見渡すと、モロッコ人は連れ立って手をつないで歩いているのをよく見かけます。若い女性同士は爽やかな印象ですが、実は中年の男性同士も2人してよく手をつないで歩いています。それを見た私達のグループの一人は「ホモ?ホモ?」と騒ぎましたが、実はそうではなく、単に仲良しなだけでした。ヒゲを生やしたしかめっ面 の中年男性が、手をつないで平然と歩く姿は、私達にとっては、とても奇妙です。モロッコでは家族以外の他人をあまり信用しませんが、手を繋ぎ合うという行為を通 して、お互いの気持ちをほぐし、信頼関係を築いていこうと体で表現しているようです。殺伐とした世の中なので、日本人も、さり気なく2人、3人と至る所で手を繋ぎ合って歩いたらどうでしょう?スーツ姿のサラリーマンが手を繋ぎ合って颯爽と歩く姿は、きっと癒しの風景になると思うのです。

●働く女性
 モロッコの一般的なオフィスのタイムスケジュールは、午前8時半〜12時、午後2時半〜6時半という様に、昼休みが2時間半もあります。職場は遠くてもバスや車で30分程度の距離なので、ほとんどの人が昼休みに、一旦、自宅へ戻ります。そして、家族全員揃ってゆっくりと昼食をとります。例え共働き夫婦であっても同様で、その場合、食事の用意は、各家庭に必ずいるボンヌ(メイド)さんが支度し、働く女性を家事労働から開放しています。ところで、モロッコでは女性の社会進出が大変進んでいて、高等教育を受けた80%以上の女性が結婚して子供を持っても仕事を続けます。また、国会議員の内、必ず30人は女性と決められています。大学卒業後、女性は働くのが当然で、働いていないと結婚のチャンスも少なくなり、つまりモテないのだとも聞きました。理由は結婚しても片方だけの収入では家計が苦しい為、男性は必然的に、「収入の糧のある女性を優先的にゲットしなくてはならない。」という事らしいです。そんなダブルインカム家庭のキャリアな女性とは反対に、各家庭で働くボンヌさんの多くは、貧しい農村からやってきた女性です。教育の機会にも恵まれず、読み書きさえできない人も大勢います。モロッコには社会に出て活躍できる女性と、それを裏で支える女性という、異なる環境で生きる女性の存在があります。経済発展をしていく社会の中で、波に乗れる人々と取り残される人々の差が、どんどん広がってゆくような気がします。

つづく…

戻る

募集中!

日本語教師募集
募集要項はこちら!

コラム募集
おしゃべりコーナー」にコラムを掲載しませんか?
興味のある方はこちら

地球学校会員募集
地球学校の活動をお手伝いしてみませんか?
詳細情報はこちら