第120回 ある日のレッスンから
(フ)
インド南西部出身の学習者から、どうして日本の天気予報は毎日あんなにたくさんの情報を知らせるのかと、聞かれたことがある。
自分の住んでいた地方では、「晴れ」と「雨」の区別くらいで、それ以上の情報は無かったが、それだけで充分だったと、言って笑った。
来日してから、日本語がわかるようになってテレビの天気予報を見るのが、とても面白く、興味を持って見ていると、言った。
私たちは今や毎日の生活の中で欠かすことの出来ない情報として当然のように利用している天気予報を違った目で疑問を持って見ている人が居ることに私も笑って応えた。気象衛星とスーパーコンピューターを使っての気象情報はめったに外れることはない。
・ 天気が経済活動に与える影響が大きいこと
・ 行事、旅行などの計画、予定を立てるのに利用
・ 日本人の自然現象に対する豊かな感性
等々を答えとした。
気象に興味を示した学習者に多くの言葉と表現方法を教えるチャンスと思い、日本の風土の自然現象を表わす名詞、形容詞を教えた。「晴れ」「雨」だけでも、きりがないほど豊かで美しい表現があることに、彼は大きい目を更に大きくして一つ一つを聞いていた。教えたことを全部憶える必要はないが、知っていると便利だし天気予報を見る時にもっと興味(日本語に関して)が持てるようになるからと。
教えたことは理解して使ってはいたが、自分の国にない気象表現は忘れてしまったことだろう。「夕立」は「スコール」と同じだから憶えているだろう。「春雨」や「日本晴れ」は忘れてしまっただろうか。
南北に長い日本列島、根室で桜の花が咲き、沖縄で梅雨入り宣言の天気予報を聞きながら、ふっと、ある日のレッスンを想いだした。
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