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コラム ふしぎ日本語 - バックナンバー  

第112回 新聞一面をにぎわした「は」と「が」

20世紀人

5年半のロングランを続けた「小泉劇場」もついに閉幕した。「ワンフレーズポリティクス」といわれ、「感動した。」「人生いろいろ」とか記憶に残る名せりふが印象的であった。そのなかで、少々旧聞ながら、日本語文法の機微にふれるような問題発言があったことを、思い出したので紹介したい。

2年ばかり前のこと、新聞を開いて目を見張った。野党からの「イラクでの非戦闘地域の定義は?」の質問に対し、「自衛隊が活動している地域非戦闘地域」とある。国会での小泉首相の答弁の記事である。そのとき直感的に抱いたイメージは、「自衛隊が行けば直ちにその地が平和地域になる」という、およそ当時、(現在も)現実に進行していた事態とかけ離れた奇妙な論理で、国会という場で、ここまでの強弁が許されていいのかという印象を強く持った。

ところが、購読しているもう1紙のほうは、1字違いで「自衛隊が活動している地域非戦闘地域」となっていて、うん、これならすこしわかる、イラク特措法の規定として自衛隊を派遣できる地域は非戦闘地域に限る(この非戦闘地域の解釈が難しいと思うが、ともかく)という規定があり、それを前提にして言えば、「自衛隊が活動している地域ね、イラク特措法の規定によれば、非戦闘地域しか許されてないんだよ」ということを、得意のワンフレーズでいえば、こうなるかなあという気もした。

日本語文法テキストで敷衍すれば、「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさん 住んでいました。おじいさん やまにしばかりに・・」におけるの用法、すなわち、は既知に後続し、は未知に後続するルールを正しく使った表現であったかどうかということである。

どちらが、正確な発言内容であったか。あらためて、当時の新聞縮刷版で調べてみた。
これは、2004年11月10日、国会での党首討論で、岡田民主党代表と小泉首相(いずれも当時)」の中で、首相が代表の質問に対し、答弁した内容であった。派は日経新聞で、派は朝日新聞であった。では、実際の発言はどちらが正しかったのだろうか。新聞には公式の速記録までは載ってないから、2紙以外の新聞がどう書いているかを調べて、多数派をもって、正とすることとした。結果は、読売、毎日ともに派で、多分日経記事は、故意か不注意かは知らないが、実際の発言とは違っており、と発言されたと断定した。

いまさらの話であるが、この結果でよかった。1字違いで、憲法第9条への誰の目にも明らかな挑戦となるところであった。
まして、発言者が、別の日に(多分)同種の質問に対して、「私に聞かれても分かるわけがないでしょう」と答えた人であってみれば・・・・。


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