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コラム ふしぎ日本語 - バックナンバー  

第108回 先生と言われるほどの

ichi

 久しぶりに会った友人から「今,何をしているんだ」と聞かれて、「外国人ビジネスマンに日本語をおしえている」と答えると、「ああ、日本語の先生だな」といわれる。実は個人的にはこの「先生」という表現をされると照れくさい。
 日本語を語学として教えるのなら確かに先生だ。しかし私の場合は、外国人が日本語でコミュニケーションが出来るようになる手助けをしているつもりである。適当な日本語が見つからないが、日本語インストラクターとかコーチ或いはトレーナー、このほうが似合っているように思われる。
 外国人が使う日本語のテキストには敬語のレッスンが出てくる。例文にある目上の人物の代表格が「先生」である。正直言って先生を尊敬の対象にして敬語表現を練習するのは、「日本語の先生」としてはこれも照れくさい話である。
 学習者には私のことを、「さん付け」で呼ぶようにレッスンの初期段階で話をする。しかし学習者の日本語が上達して中級レベルに達すると、学習者は「先生」のほうが呼びやすいようだ。
 職業人としての教師、或いはお医者さんには「先生」で違和感は少しも無い。しかし、カラオケの先生やダンスの先生はちょっと奇異な感じである。これがテニスになるとコーチで、エアロビクスなどはインストラクターと呼ばれることが多いのではないだろうか。
 言葉を使ってコミュニケーションをする場合は瞬発的なひらめきも重要である。言語の習得は一種スポーツと似たところがある。「日本語インストラクター」の方が何か実態に近いような気がするわけである。
 中学の恩師に年賀状を出す時の敬称は永遠に「先生」なのだろうか。私は「様」で出している。生徒も年配の社会人になれば、先生に対しても一般的な敬称である「様」の方が尊敬と敬愛の気持ちが出ていると勝手に解釈していた。この話をすると「それは失礼だ、先生はきっと気を悪くしている」と言われた。言ったのは元先生である。
 「先生」に対する私の語感は世間一般とは温度差があるのかなと感じている次第です。



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