第103回 一番長い訓読み
A.O
*くんどく【訓読】漢字に日本語をあてはめてよむこと。秋を「あき」、天地を「あめつち」とよむ類。←→音読 (広辞苑より)
日本語の教師をしているが、どんな漢字でもおまかせというわけではない。ふとした弾みに簡単な漢字が思い出せないことがある。そんなときは大いに決まりが悪い。しかし、読み方に関してはたいてい大丈夫だと思っていた。
小六の次男、中三の長男と関西に帰省し、堺市の百舌鳥駅の前を通りかかったとき次男が尋ねた。
「お母さん、あれ、なんて読むのん?」
「もず、や」
「どこまでが「も」で、どこからが「ず」やのん?数が合えへんやん」
「ぜんぶまとめて『もず』や。分けたらあかんねん」
すると長男が、
「そや、熟字訓ていうねん」
「ん、さすが受験生やな。『土産』とか『大人』なんかも熟字訓や」
それから数日後のこと。長男がにやにやしながら私に訊いた。
「お母さん、いちばん長い訓読みをする漢字一字は何か知ってる?」
「えぇっ?」(「こころざし」….「うけたまわる」…??)
「それは『ほねとかわとがはなれるおと』」
すると次男が得意げに、
「そうや、『ほねとかわとがはなれるおと』や。書けるで。ほら….」
そういって見たこともない漢字を一字、書いたのである。
「こんなんもあるで。これが『まつりのそなえもののかざり』や」
また見たことのない漢字。兄弟はクスクス笑っている。
「ほんまやで、ほんまにあるねんで。インターネットで見つけてん」
そこでさっそく子供たちに教えて貰ったウェブサイトを見てみた。なるほど。『大漢和辭典』という権威ある辞書に載っているらしい。どんな漢字かは、このワープロソフトでは変換できないのでここには載せられない。そのサイトには日本語や漢字に関する、興味深い記事が満載である。是非一度ご覧あれ。(リンクはご自由に、とのことでご厚意に甘えます)
http://www.akatsukinishisu.net/
(「漢字雑文」をクリック→「長訓読み選手権」をクリック)
この日の夕食時、『ほねとかわとがはなれるおと』ってどんな音か、そもそも骨と皮の間には「肉」があるのではないか、きっと石器を使ってはがしたんだろう、などと話がはずんだ。それにしても、学校で習う漢字もこれほど印象に残れば覚えるのが簡単かもしれない。
そのまた数日後。
次男が漢字のテストを返して貰ってきた。あちゃぁ、普通の漢字も練習しぃや…
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