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コラム ふしぎ日本語 - バックナンバー  

第102回 草木の名の由来

 春爛漫の季節となりました。野山にはいろんな草木の花が咲いています。山道で見つけた花にこれ何と言う花とか、あそこの大きい木は何の木とか言いつつ散策するのも楽しいものです。またその草木の名の由来を知っているとなお更です。現在は植物の名の表記はカタカナですが、昔ながらの漢字表記をすると一段と興味が湧きます。
 そこで春の草木で面白い名の由来を二三紹介してみましょう。
 ●蒲公英(たんぽぽ)  おなじみの道端で見かけるタンポポです。語のひびきからすると外来語の和語化したものと思っていましたが、れっきとした和語だそうです。頭花の蕾を「鼓」に見立て、「タンタンポポ」というあの音色から生まれたようです。その証拠にタンポポを別名「鼓草」ともいいます。 漢字は中国語をあてたようです。ついでに言いますと、花の名ではありませんが、「スバル」も和語です。『枕草子』に”星はすばる”とでています。
 ●馬酔木(あしび)  ツツジ科のこの木は『万葉集』に十首も詠まれているそうです。全株有毒で、馬が食べると足がふらつき、ひどい時には昏睡状態に陥ることから、アシヒク(足痛)あるいはアシシビレ(足痺れ)が転じてアシビ、アセビの名が生まれたといいます。漢字を見ただけで木の性質がわかります。
 ●勿忘草(わすれなぐさ)  ムラサキ科の多年草。茎の先に巻き尾状の花穂を出し瑠璃色の可憐な小花をたくさんつけます。この花の由来はドイツの悲しい伝説からきています。
 若い騎士が恋人のために、川のほとりに咲くワスレナグサを摘もうとして足を滑らせ、急流に流されながらも「私を忘れないで」と叫んで恋人にこの花を投げ、水中に身を没したと言います。ドイツ語や英名の “ forget me not”を直訳すると「私を忘れないで」となり、和名もそれに由来します。それにしても勿忘草(わすれなぐさ)と訳した人はなんと上手い名をつけたものでしょう。文法的には、日本語で珍しい「な・・・そ」と二語に分かれる否定形の「吾な忘れそ」が、この草の名の下地になっています。
 そしてこの「な・・・そ」は元来女性の用いる言葉だから、この訳者は女らしい花であることまで訳語にこめていると作家の高橋治氏は言っています。それにしてもロマンテイックな花名です。因みに花言葉は真実の愛です。


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