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コラム ふしぎ日本語 - バックナンバー  

第89回 JAA〜N よこはま

ichi

 私が学校を卒業して会社に入社したのは、東京オリンピックの年の少し前だから、かれこれ40年近く昔である。当時の新社会人はお国なまりをそのまま東京の職場に持ち込んできた感があった。テレビの普及で標準語が広まってきたとはいえ、まだまだお国言葉が幅を利かせていた時代である。
 横浜育ちの私も、言葉尻の「いいじゃん」「そーじゃん」を、先輩や同期の連中にからかわれたものだ。もっとも横浜には愛着心をもっていたので「じゃん」を無意識に連発していたかもしれないが。関西弁の「そうやん」「そうやんか」と同類で「ではないか」の意味合いを持っている表現である。広辞苑に載っている例は、「いかしてるじゃん。」「そんなことどうでもいいじゃん。」
 「じゃん」のルーツは横浜とばかり思っていたが、じつはそうとばっかりは言えないらしい。東西文化の分かれ目である静岡県がルーツであると言う説もあるんだそうです。静岡、特に伊豆半島では「そうじゃあ」「俺が行くじゃ」と言う言い方があって、これが「じゃん」に変わって行ったとのことです。私の家内は子供の頃を静岡で育ち、伊豆半島には親戚も多くいるので聞いてみると、やはり馴染みのある懐かしい響きをもった表現らしい。しかし「そうじゃあ」のイントネーションは間延びした感じで、ハマことばの「じゃん」とは少し違った音感ではあるようだが。
 「そうやん(関西)」「そうじゃあ(伊豆)」「そうじゃん(横浜)」と並べて見ると西から東にと変化していったのかな、と勝手に想像たくましくするわけである。
 それにしても、くだけた会話の場面で使われる「じゃん」は今や全国区のポジションを得て、逆に横浜で頻繁に耳にする言葉では無くなってきた。
 半世紀近くで言葉が変化していくのを実感したように思うのは大げさだとしても、最近はどこへ行っても、お国なまりが聞かれなくなってきたのは事実のような気がしている。


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