第84回 「がんばれ」考
梨
受験シーズンとあって、あちらこちらに「がんばれ」が氾濫している。今日、生協で納豆を買った。本日のお薦め品で「がんばれ、受験生!百点太郎」とラベルに書いてあり、3連で98円であった。
この「がんばれ」については、私もふくめて、日本人は無意識によく使う言葉だが、先日、NHKのテレビで取り上げていた。「精一杯がんばっているのに、これ以上どうしろというの」と、言われた側は思うというのだ。そして、元マラソンランナーで、現在スポーツ評論家の増田明美さんは、現役で走っているとき、Good Job! Good Shape! Enjoy!と、声をかけられたフレーズが、今でも心に残っているそうだ。視聴者からいろいろよせられた語句が紹介され、声をかける対象者は、病人、受験生、落ち込んでいる人など様々と思われるが、「ゆっくりしてね」「あせらなくていいじゃないか」「できるだけで、むりしなくていい」「まけないで」「乗り切って」「無理するな」「ゆっくり休め」「元気で行こう」「笑顔をわすれないで」「一緒にがんばろう」「ご健闘を祈ります」などであった。同じ「がんばろう」でも、「一緒に」がつくと、「私もあなたと一緒にがんばるから・・」というニュアンスで、言われた側も受ける感じが大分違うということだ。
わが身を振り返ってみると、言われたとき、言うとき、いずれも大して気にもとめず、軽く頭上を通過していく感じで、いってみれば、軽い挨拶の慣用句として使ったり、受け止めたりしている。NHKの朝のドラマで結婚式に臨む“わかば”に、友人が、「がんばって」と声をかけるシーンがあったが、まさにこれは軽い挨拶代わりといえよう。
思うに、言葉のTPOというか「こんなにがんばっているのに」という場面では、こまやかな配慮が必要であろう。ちなみに、中国語で、「がんばれ」に当たる言葉は次のように二種類あり、日本人ほど「がんばって」は、使わないそうだ。
・「好好休息。不要着急。」(病人にたいして「あせらずに、ゆっくり休んでください」)
・「加油。」(スポーツ競技で、「がんばれー」の場合に使う言葉)
それにしても「がんばって」は、便利な挨拶言葉ではある。日本語学習者には、日本人が連発する「がんばって」は、どう受け取られているのだろうか。
|