第79回 文字・語彙は新聞見出しで
最近必要に迫られて、梅棹忠夫氏の「日本語の運命―ローマ字表記で国際化をー」(NHKブックス)を読んだ。主張はまことに明解で、漢字がネックで、ほとんどの外国人が日本語から逃げてしまう。そこで、日本人もろとも、漢字を止めて、グローバル・スタンダードのローマ字表記にしたらというのである。先生の漢字嫌いは戦前今で言うフィールドワークのために、中国の奥地へ行ったとき以来、60年越しというから恐れ入る。こんなことは、当分実現しないから、実害はないが・・
又、2-3年前に評判になった「漢字と日本人」(文春新書)の高島俊男氏は「漢字を表記記号として採用したのは日本語として不幸だが、いまとなっては、腐れ縁で別れられない。」とまるで日本語と漢字は家庭内離婚の気分である。
識者先生が、こういった調子だし、日本語教育業界も日本語の特質を無視し、西欧の「言語はまず音声なり」が幅を利かせているから、教師養成講座でも、巷にあふれるテキストでも、「いかにして、楽しく、効率的に、漢字を覚えさせるか」といった内容のものはごく初歩のところを除いて、皆無に近いといっていい。
教師に熱意がなければ、生徒はますます漢字がいやになる。そこで、梅棹先生流に言えば「今や、世界で潜在日本語累積人口1000万人、ほとんどが漢字で途中挫折、死屍累々」ということになる。
どうしたらいいか。
とここまでは建前で、実のところの本音はぐっとみみっちく、今年2回目の2級検定試験を目前にした私の生徒のことである。昨年受験前に、他流試合とばかり、対策セミナーに出したら、T先生に、「文字語彙が問題で、読解にも影響してますね。」とずばり言われ、そのとおり、番狂わせなしの順当な結果に終わってしまった。
捲土重来、いろいろ試してみたが、パッとした効果がない。
窮余の思いつきで、半年前に、新聞を材料にしてみてはと考えた。新聞は鮮度が第一。その日の朝刊を買って持ち込み、さっきテレビで見たニュースや事件を話題にしながら、漢字を覚える。
最初は、見出しも含めて記事全体を見ていたが、そのうち見出しに絞るようになった。
気のせいか、生徒の食いつきもいいように思える。表情も明るくなった。これを毎回30分に限定して実施。すっかり定着した。
新聞見出し教材の利点を列挙すれば
1、文法や文構文に煩わされず、文字・語彙に専念できる。
2、大きな記事には見出しが複数あるが、これを組み合わせて、記事の大要を読み取る。
これぞ、イマジネーションの醍醐味。(文法はロジック、漢字は記憶でなくて、想像力だと思う。)
3、文字語彙の教材として無駄が全くない。新聞ならでは。(次ページ囲みを見よ。)
4、次ページで、直撃、陣営、浮上、国庫など語彙リストにないが、漢字組み合わせの貴重な体験。
5、安くて、どこでも手に入る。アレンジなど準備がいらない。(私の場合、途中コンビニで買い、都度¥130徴収しています。)
6、日本文化、日本事情の最良の教科書。興味があれば本人の好みで自由に記事へ。(次回質問)
7、何たってとれたて、これに勝る鮮度はない。 といいことづくめであるが、1つ大きな問題は・・・・・
8、能書きはともかく、もうじき結果が出てしまうのが、つらいところである!
(以下は教材サンプル。本物コピーだと、重くなることを恐れて、残念ながら、ミニチュアで)
04.10.10朝日新聞朝刊第1面見出し(全部)のミニチュア

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