第73回 相手を理解できないのは誰のせい?
作家の沢木耕太郎氏が「銀の森へ」というタイトルで、朝日新聞に映画評論のコーナーを持っています。5月10日に上記のサブタイトルをつけてソフィア・コッポラ監督の「ロスト・イン・トランスレーション」について書いていました。私は別に特に映画好きというわけではありませんが、ちょうど5月9日の地球学校日本語講師定例ミーティングで「異文化間における相互理解」について若い人たちと話し合う機会を持った直後だったので、ふとこの記事に目がとまりました。
映画のあらすじはCM撮影のため来日したアメリカの中年俳優と、カメラマンの夫につきそって来日した若い人妻が異国の地東京で出会い、「異国における困惑を共有するもの同士」の「淡い関係」を描いた映画だそうです(すみません、実は私は見ていません)。
沢木氏はこの映画を見て「私にしては珍しく強い拒否感を覚えた」のだそうです。この映画は一般的にはコメディーということになっているらしいんですが、「日本人をバカにしているとか、東京の描写についても不快感を感じた方は多かった」そうです(某映画ファン向けサイトBBSより)。
沢木氏も「ここに出てくる日本人は徹底して『愚か』に見える。だがその愚かさの外観は、実は自分の愚かさの『鏡』なのだということに気がついていない」「理解できないのは相手のせいでなく、自分のせいなのかもしれないという視点をまったく欠いていた」、ひいては「いま中東で起きていることなどを瞥見すると、彼ら(アメリカ人)には、自分たちが理解できないのは相手が悪いからだという思いこみがあるような気がしてならない」とまで言っています。
私がこの記事から読み取れたのは、沢木氏の怒りでした。氏はご存知のように異国の地を旅してきた方ですから、ご自身の経験と比べると怒らずにはいられないのかもしれません。ただ、いきなりアメリカ人全般に話が飛んでしまうのも、ちょっと怖いと思いました。
前出のBBSで「私も、アメリカの振りかざす自分勝手な正義感は困ったものだと思いますが、それをこの映画にからめて書いてしまう沢木耕太郎の「思いこみ」にも違和感を覚えました。(中略)それにこの映画はコメディーで、それらは「笑いのネタ」ですから、この程度で「日本が!」と目くじらたてなくても・・・。と私は思うのです。」という書きこみを見つけて、正直ほっとしました。(そうだよねぇ…)
ちなみに私が通っている某英会話教室の先生にこの話題を振ってみたところ、「あれは特に良い映画っていう訳でもないけど、そんなに悪くもない。確かに出てくる日本人はちょっとステレオタイプだけど、僕達日本に住んだことがある外国人にとっては、すごく笑える映画。あれはコメディー。ただ一緒に見に行った彼女(日本人)は、なんで僕が大笑いしているのか良くわからなかったようだ。でもオススメ。ぜひ見て。」とのことでした。
異文化理解って難しい…?でも見てみようと思います。笑えるかな?ムカツクかな?
※ 「 」内は全て原文のままの引用です。
※ 沢木氏の原文が読みたい方はM.O.までご連絡ください。
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