第71回 仮名づかいを正しく
「立派人物であっても、不審な挙動をしていると、うさんくさく思われることがある。文章の場合も同様である。どんなに立派な内容の文章であっても、見た目の印象が悪いと中身まであやしく思われがちである。文章における見た目の印象とは、表記のことである。つまり、誤字や脱字などが多い文章に対して、読者は、内容を理解しようとする以前に、だめな文章だと判断してしまいがちである。したがって、表記に関して誤りがないように注意することは、よい文章ー読み手に理解され、受け入れられる文章ーを書くために大切なことなのである」。(樺島・佐竹共著『改訂版基礎からの国語表現の実践』より)耳が痛くなる文章です。
先日、「中」は「"ち"ゅう」と読まれたり、「一日中」のように「"じ"ゅう」と読まれるのはなぜですか、という質問を受けました。
辞典で調べると、「中」は「なか」と「ちゅう」しか読み方がありません。それなのになぜ、「一日中」は、「いちにち"じ"ゅう」と仮名がつけられているのでしょうか。「いちにち"ぢ"ゅう」ではいけないのでしょうか、という質問でした。もし「一日中」を「一日」と「中」の2つの単語の間に「の」を入れてみて意味がわかれば「いちにちぢゅう」とすることができます。しかしこの場合には意味がわかりませんので、「一日中」は「いちにちじゅう」となります。
誤りやすい仮名づかいとして、「ぢ」と「じ」、「づ」と「ず」があります。正直に言って私も時々どちらを使って良いのか迷います。もし私のように迷われる方がいらっしゃいましたら、参考にしていただければ幸いです。
基本的には、「ぢ」・「づ」を使わず、「じ」・「ず」を使います。
例:じしん(地震)、ふじ(藤)、まず、みず(水)、きずく(築く)
ただし、
1.二語連合の連濁の場合
つまり、その漢字が本来の意味を保ったまま他の語につく場合や清音であった語の語頭が、他の語について濁音になった場合は「ぢ」や「づ」を使います。
例:はな+ち→はなぢ(鼻血) かい+つか→かいづか(貝塚)
は+つき→はづき(葉月)八月のこと ま+ちかい→まぢかい(間近い)
* その漢字が本来の意味を保ったまま他の語につく場合は、「鼻の血」や「貝の塚」ように「の」を入れてみて意味がわかるような場合のことを言います。
2.同音連呼の濁音の場合
つまり、同じ音が繰り返されて、後のほうの音が濁音になる場合に「ぢ」・「づ」を使います。
例:ちぢむ(縮む) つづみ(鼓)
最後に、次の漢字の読み方を仮名づかいに注意して書いてみてください。
悪知恵 著しい 小包 服地 気疲れ 手近
いかがですか。
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