第67回 「もし。もし」って。
日本に住んでまだまもないロシア人の友人がいます。あるとき遊びに行くと、わたしの顔を見ながら、夫婦二人で「もし。もし」と言いながら、クスクスと笑いました。なんでも、電話に出る日本人がみんな「もし。もし」というので、おもしろくなったらしいのです。
「どうして『もし。もし』、と言いますか」と、理由を聞かれましたがすぐには答えられませんでした。そこで、インターネットで調べてみると、二つの説明が見つかったのです。
1. なんとこのことば縄文(じょうもん)・弥生時代(やよいじだい)(今から2000年ぐらい前)に使われていたらしい。縄文時代は、夜になれば月明かりや松明(たいまつ)を利用するだけでしたので、外は真っ暗闇です。何かの用で森や人が住んでいないような場所に行かなければならない時は大変怖かったらしいのです。そこで「だれかそこにいますか」という気持ちで、「もし?もし?」と声を出しながら歩いたらしい、というのです。
電話では声は聞こえますが、相手の姿は見えません。これは、縄文時代の人が夜、そとへ出かけるのと同じようだと考えて、「もしもし」が再び使われるようになったらしいのです。
2. 電話局の交換手が電話線をつなげるときに、「申し上げます。申し上げます」と言ったらしいのです。これが短くなって「もし。もし」と言うようになった。これが二つ目の説明です。
★「電話局の交換手」というのは、電話局で働いていて、電話をかけた人の電話線と、相手の人の電話線をつなぐ役目をする人です。今はほとんど機械が電話線をつないでいます。
みなさんは、どちらの説明が正しいと思いますか。あるいはどちらの説明も正しくないと思われるかもしれませんね。
「もし。もし」と言うたびに、縄文や弥生時代のように、貝を採(と)ったり、いのししや鹿(しか)を追いかけている姿を想像して、私は楽しくなります。みなさんはどうでしょうか。
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