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コラム ふしぎ日本語 - バックナンバー  

第57回 「KOBAN」ってなに?


浮田 博良

  「KOBAN」? 当然「小判」だと思いますよね。
 ところが、新宿駅西南出口の前に大きく「KOBAN」という看板を掲げた小屋が建っています。そう、「交番」です。

 昭和二十九年十二月九日付内閣告示「ローマ字のつづり方」の「そえがき 4 長音は母音字の上に^をつけて表す。なお大文字の場合は、母音字を並べてもよい」に従えば、「KOBAN (Oの上に^)」か「KOOBAN」でなければならない筈です。
   地名では、「TOKYO」「KYOTO」「OSAKA」「KOBE」と違反だらけです。

 人名では、公文書であるパスポート上のローマ字氏名がまた問題ですよね。「甲野洋子」さんなら「KOONO YOOKO」でなければならない筈です。

 日本語の教科書では、「JAPANESE FOR BUSY PEOPLE」や「新日本語の基礎文法解説書」は「Tokyo Byoin(oの上に横棒)」、活用形の「〜でしょう」→[〜desho(oの上に横棒)]です。一方、助詞では、「は」→[wa]、「へ」→[e]、「を」→[o]です。

 これらはローマ字を「表記法」としてではなく「発音記号」として使用しているわけですが、「母音の上に横棒」や「母音の上に^」は、今の普通のワープロソフトではできません。上記の「KOBAN」の「O」は、欧文記号の中でやっと見つかりました。


 パソコンで書こうとすると、「ローマ字→かな漢字」変換ソフトでの入力法は、
  交番:KOUBAN(N)
  東京:TOUKYOU
  大阪:OUSAKA
  甲野 洋子:KOUNO YOUKO
  今日は月曜日:KYOUHAGETUYOUBI
   ですね。

 日本語は、「漢字/かな/カナ」での表記以外に、ローマ字表記も正式な表記法のひとつの筈なのに、どうして、長い間このように不統一のまま放置されているのか残念です。

 ローマ字表記というと、外国人のための表記法と思われる方が多いでしょうが、そうではありません。戦後かなりの期間、外国へ仕事で出張または滞在していた日本人にとって、本社と文書で連絡する手段としての国際電報やテレックスでは、ローマ字以外では表記できないため、毎日ローマ字で日本語を書いていたのです。国際電報では、1語何円/ドル等という課金方式で単価が高かったので、分かち書きが重要でした。

 ファックスの出現で一応それが解決され、今やインターネットで自由に日本語通信ができると思われ勝ちです。でも「交際交流」を掲げる地球学校の皆さんでも、本国にいる外国人との間で、自由に漢字仮名交じり文での交流が可能でしょうか。

 問題は、パソコンの変換ソフトで、例えば本国にいる中国人は「Windows」の中国語版と日本語版の両方をインストールして使い分けるか、その他の特別なソフトが必要でしょう。韓国やタイ等々も同じ環境で、解決は容易ではないでしょう。

 これを回避するのには、どうしても、しっかりした「ローマ字表記法」が確立され、それをすべての日本語教師と外国人日本語学習者が共有するべきだと思います。

 国語審議会は、「ローマ字表記」は正式な国語表記であるとの認識をもって、分かち書き問題も含め、はやく統一表記方式を確立することが望まれます。


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